19.誓文払い

源頼朝の命を受け、義経を討とうと修験者に扮して、六条堀川の館の様子を覗っていた土佐坊昌俊は、弁慶に捕まってしまいます。
そして義経の面前で、厳しい訊問を受けますが、

「私に敵意はございませぬ。偽りのない証拠に、熊野権現への起請文を一札入れましょう。」

と誓文を入れて開放されました。

ところが昌俊は、舌の根もかわかぬあくる日、60余騎を率いて夜討ちをかけます。
義経を窮地に追い込みますが、結局失敗し、堀川館で首を刎ねられました。

八坂神社のお旅所・四条の恵美須社は、この土佐坊昌俊を商売の神様・えびすさんに結び付け祀ってあります。

恵美須社

【恵美須社】

祭礼は10月20日、二十日戎といいまして、いつも口先ひとつで儲けている商売人や、仕事上やむを得ず嘘をついている芸妓さん達が、日頃の罪を詫びるためにお参りします。

また、商店街でも日頃の罪滅ぼしにと、大安売りをします。
この大安売りは、土佐坊の故事により「誓文払い」と呼ばれています。
全国どこにでも見られるようになった大安売りの起源は、このようにいつも嘘をついている罪滅ぼしで始まったものですが、さて大安売りといいながら・・・?