江戸時代、「京の酒」「伊丹の酒」は、醸造技術が発達していない江戸の人々にとって最高のお酒とされていました。
江戸への出荷は、「京の酒」は伏見港から、「伊丹の酒」は灘から船で運搬されていました。
関東方面の需要が高まる中、醸造元は運搬コストを下げる為、それぞれ伏見・灘へ蔵を移します。
以後、現代に至るまで、伏見・灘は酒処として酒造メーカーの拠点として繁栄していきます。
お酒の名前のお話ですが、「菊正宗」「キンシ正宗」「鶴正宗」等、よく「正宗」と名の付くお酒の銘柄がありますが、「正宗」を音読みすると「セイシュウ」です。つまり「清酒」ですよという商品説明になっているネーミングです。
【清酒】
また伏見には第16師団ができ、伏見の醸造元は、軍人さん達へ販路を拡げていきます。
ですから伏見には「月桂冠」「名誉冠」「英勲」「世界鷹」「神聖」等、軍人さんに好かれる名前のお酒が多いのです。
さて、江戸の人達には、京の西陣織や工芸品、とりわけ伏見や灘のお酒が至上のものとして喜ばれていました。
天皇がおられる所である上方から下ってくるものが最上で、それ以外は価値の劣るものとして
「下らないもの」と言われる事にとなり、これが私たちが普段使う「くだらない」という言葉の由来になったと一説に言われています。