23.大袈裟な話

建仁寺は建仁2年に創建された禅刹です。
比叡山の地位や名誉を重んじる貴族化にあきたらなかった栄西が、2度にわたり入宋し、日本へ最初に本格的な禅を伝えました。

袈裟

【袈裟】

「喫茶養生記」を著した栄西はお茶を伝えた事でも知られています。
高山寺の明恵上人に苗木を譲り栂尾に日本最初の茶園ができますが、明恵上人が宇治の里人に伝え、これが宇治茶として広く今に知られています。

厳しい禅風は武士達に好まれ、鎌倉幕府から鴨東の地を譲られ、朝廷からも厚く遇せられ、土御門天皇は栄西禅師に年号の「建仁」を寺号として下賜されます。

面白くないのは朝廷と密接につながって権力をふるってきた比叡山延暦寺です。
中国の禅僧の格好をしている栄西一派は、衣や袈裟が大きく人目を引くのですが、そこで比叡山側が朝廷に直訴します。

「近頃、都で大風やつむじ風が頻繁に起こるのは栄西一派が大きな衣や袈裟を翻して都大路を偉そうに闊歩するからでございます。」

大袈裟」な話はこれを言います。
「栄西風神にあらず、何ぞ、風を吹かしめぬ」(雑談集9)
国宝俵屋宗達「風神雷神図」が建仁寺さんにあるのもこの話からでしょうか・・・。