24.小倉山

『大堰川 浮かべる舟の篝火に 小倉の山も名のみなりけり』 在原業平

【大堰川の紅葉】

この和歌は嵐山の鵜飼いを詠んだものですが、実はこの当時の小倉山とは、
嵐山、亀山、愛宕山にかけて一帯の事をいいました。

小倉山の地図

【小倉山の地図】
(愛宕山はさらに北西)

早く日の落ちるここ西山辺りがお暗い山と呼ばれたわけです。
嵐山の秋の紅葉は夕方、すぐ暗くなりますからお早めにお出かけ下さい。

『朝まだき 嵐の山の寒ければ 散るもみじ葉を着ぬ人ぞなき』 藤原公任

この和歌のように、平安時代から朝、朝日が山肌を照らしている内が嵐山紅葉狩りの定石のように思います。

もう一つ嵐山の和歌を…。

『小倉山 峰のもみじ葉心あらば 今ひとたびのみゆきまたなむ』 貞信公

この和歌のように小倉山と云えば、「もみじ」が有名です。
そこで、「もみじ」と云えば、取り合わせの動物は「鹿」ですね。
そして、「鹿」から思い描くのはあの斑点の「鹿子模様」です。
それから、斑点の「鹿子模様」はあんこに当てはめれば、こしあんじゃなくて、「粒餡」ですね…。
ですから、「粒餡」の事を「小倉餡」と云います。

つまり、

小豆→鹿子模様→鹿→もみじ→小倉山→小倉餡

というわけです。